タモリの弔辞が良かった。さすがである。今まで有名人の弔辞では、裕次郎の葬儀で勝新太郎が述べた弔辞が最高だったが、タモリの弔辞も優るとも劣らない素晴らしい弔辞であった。何故か善人は早死にする。これが不思議でならない。
優しい笑顔。優しい目。最近の漫画家の姿と比べると、大変な違いである。本物はぶらない。偉そうにしない。人を育てる。人に対して優しさがある。最近の漫画家は、赤塚さんと正反対の人間が多いように見受けられる。嘆かわしい限りである。
どんな世界の人間でも、本物は謙虚である。自分を大きく見せようなどとはしない。そんなことをしなくても、本物は大きく見えるものなのだ。最近の漫画家は皆さん大文化人におなりになって、偉そうにコメンティターに精を出す御仁もおられる。
その点、赤塚さんは立派であった。やろうと思えば大文化人面をしても誰も何も言わなかっただろう。でも、そんな垢抜けないことはしなかった。要するに本物だったからである。人間は何年生きたかではなくて、どう生きたかが問題なのだと思う。
人を育て、教え、そして自分も成長していく。できそうでなかなか出来ないことである。でも、彼はそれを実行した。本物は次々と世を去り。偽者たちが残る。
合掌