12年3月期の、電機3社はパナソニック、ソニー、シャープと大赤字の見通しである。パナソニックが7800億円の赤字、ソニーが5200億円、シャープが3800億円の赤字の見通しがはっきりした。特にシャープは、台湾の企業に出資してもらう有様。情けないの一語である。
シャープの場合、タブレット端末向けなどの液晶パネルの出荷遅れも影響したという。R&Iはソニーの格付けを下げる方向で検討に入ったと発表している。パナソニックなどは、前会長のN氏の無能ぶりが際立っていた。その人物の首に誰も鈴をつけられなかったというから驚く。
似たような企業があまりにも多い。イエスマンばかりになり、正論を言えば無能の社長に疎んじられるなどという姿は、日本独特の傾向がある。企業にはびこる、長いものに巻かれれろ主義は、この国を劣化させてきたのも事実である。
正社員が、年長の派遣社員に対して敬語を使えと言った、という話には驚いたが、派遣社員制度そのものがこの国の企業を劣化させた最大の元凶だと考える。日本には、日本の文化があり、終身雇用で良かったのではないだろうか? それにしても、ソニーの凋落は再起できるのか心配になる。
ニューヨークの5番街にある、ソニービルはニューヨークに行くと元気を与えてくれた。日本の国旗がはためく姿は嬉しかったものだ。今は亡き盛田会長が、反対を押し切ってソニービルに日本の国旗を掲げた。あの頃の日本の経営者は土壌骨がしっかりしていた。
ソニーやホンダの社長が活躍した時代は、遠い昔のこととなり、それらしき社長は生まれなくなっている。生まれにくくなっているのではなくて、途中で抹殺されているようだ。
新しいものを開発する意欲のある人間は、無駄飯食いのように見られ、目先の利益だけを追いかけた結果、今日の惨状を招いたのは間違いないようである。目先の利益を追いかける姿は、日本独特の傾向が年々強くなっている。
人を育てない。無能の経営者が、居座る(パナソニックがその象徴)傾向が強くなっている。日本の経済が停滞するのと逆に、経営者の年俸だけは右肩上がりになっている。この国の救いのなさは、トップの報酬にも表れてきている。会社の利益よりも、自分の利益を優先させている。
パナソニックに象徴されるように、無能の経営者が居座る。人を育てない。目先の利益にこだわる。やたら会議をやりたがる。これが、日本企業の特徴になっている。これでは、業績が赤字なになるのも納得できる。目先の小さな銭にこだわり、大きなものを失っているのが、最近の日本企業の特徴ではないだろうか。
下手すると、シャープは台湾企業の軍門に下ることになりかねない。企業業績の低迷は、円高のせいばかりではないことを自覚できないようでは、この国の経済の未来は暗い。