政府は、原発再稼働を急いでいる「おおむね適合している」と判断したという。おおむね適合でいいのか、と言いたい。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」日本人の特性がまたも表れている。ことが原発でなければ、日本人の特性も笑って見過ごすことも出来るが、原発となると話は別である。
あのドイツは、いち早く脱原発を宣言している。ドイツも日本と同じ経済大国である。同じ経済大国でありながら、ドイツは今までも原発依存度が低かった。この違いは、どこからきているものかのか。国民の安全を考えたら、狭い国土に原発を54基も作ることは危険だと思わなかったのか?
政府が決めた、再稼働の基準におおむね適合していると判断したとされる。関電が示した行程表も、対策が完了するのは、数年先だという。経団連の会長が、会見を開かなくても再稼働を急ぎたいのは言われなくても分かっている。
国民の命よりも、銭が先の団体なのは言われなくて分かっていることである。この狭い国土に、原発を54基も作ったのも、経団連主導ではかなかったのか。当時は、経団連のメカケ同然の自民党が無防備にそれに応じて原発を際限もなく増やしたのではなかったのか、と言いたい。
誰がどう考えても、政府の対応は拙速すぎる。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の話しではなく、もっと悪質なものを感じてならない。どうせ今度の選挙が終われば自分たちは政権に残れる確率はほとんどない、と自覚しているから今のうちに甘い汁だけは徹底して吸いつくそうということではないのか。
首相は、再稼働に問題なしと判断すれば、枝野氏を福井県に派遣し、大飯原原発の3、4号機の再稼働への協力を要請する見通しだという。あれだけの原発事故の被害を受けながら、おおむね適合で再開を急ぐ政府の姿勢には怒りさえ感ずる。
国民に対する姿勢が、ドイツ政府とはあまりにも違いすぎる。国民に対する誠意が感じられない。「おおむね適合」で再開を急ぐ政府の姿勢には、財界の使い走りをしているように見えてならないのである。酷暑になれば、2割電力が不足するという。脅しだけは忘れないでおこなっている。
5月5日には、北海道電力が停止し、国内で稼働中の原発はゼロになる。それでも、パニックにならないのなら、別に急ぐことはないと思うが…。筆者が強く感ずるのは、同じ経済大国でありながら、国民を原発事故から守る姿勢が、ドイツ政府とあまりにも違いすぎるから失望するのである。
国民に対する誠意の問題だと思う。無防備に短絡的に、カジノを解禁しようとしている一部国会議員の姿を見るにつけ、おおむね適合で原発を再開する姿勢とダブって見えてくる。この国は、完全に滅びるまでは覚めない国なのかもしれない。