チリの救出劇は、まさしく劇場であった。世界中に感動を与えた。「事実は小説よりも奇なり」とよく言われるが、正しくドラマであった。世界中をテレビ画面に釘付けにした。あのカプセルのような装置も良く出来ていた。
最近は、人間に失望することが多かった。日本では、特に日本の政治家にはガッカリすることばかりが続いていた。あの救出劇を見ていると、人間も捨てたものではないと思えてくる。日本では、せいぜい動物を救出することで騒ぐことぐらいのものである。
チリの格言に“今日は貴方のために、明日は私のために”と言う言葉がある。謙譲の精神を表した言葉だと思うが、今の日本人に欠けているものは“今日は貴方のために、明日は私のために”この譲りあう姿勢ではないだろうか。
あの小泉政治から、人を押しのけても自分さえ良ければいいとする、新自由主義が大手を振って歩くようになった。日本人が舐めたがる、金持ちが少ない国こそが、人間らしい生き方をしていることに早く気がつかなくてはいけない。
日本国の経済至上主義、金持ち優先がもたらしたものは人間性の喪失である。銭がすべての国に待っているものは、滅びの足音だけであることに国民皆が気がつかなくてはいけない。今回、南米チリが日本人にもたらした教訓は多い。